デザインってなんだろ?を読みました

 

デザインってなんだろ?

デザインってなんだろ?

 

 

とってもチャーミングな装丁です。冴え渡るようなイエローと、小ぶりだけど分厚いサイズ感や、読もうとするときにおっとなる仕掛け、オビの言葉など。親しみやすいようでいてアブノーマルな存在感を放っていています。

 

はじめに の部分を読んですぐに、ああこのかた好きだなあ、私と近い人だなあ、とシンパシーみたいなものを感じ、この本を読むときはまるで大切な友人と話すかのような気持ちでリラックスしていました。

 

中身はというとさながら美術史・デザイン史の教科書です。だけどとても読みやすい。口語調の教科書という感じです。色、レイアウト、ロゴ、装飾、表現、という具合に章が分かれています。それぞれに関するホモサピエンス〜現在〜これから先の未来の予測まで、美術デザインに関する世界史が、松田さんのゆたかな視点で紐解かれています。

学生時代にもデザイン世界史は授業があったので、出てくるキーワードはちらほら既に知っているものもありましたが、国によって色の認識の違いがとても異なっていること、産業革命が美術に与えた影響の大きさや、日本の文化はかなり独自路線だった、など知らなかった面白いことがたくさんありました。(授業を真面目に聞いてなかったのもあると思いますが)

人間と美術がどんな風に絡み合ってきたのか、そのおおきな流れを知ることで、今私たちが生きているこの時代の美術・デザインも、その大きな流線の1点に過ぎないのだな。。。と新鮮な感覚になりました。そして、私たち美術畑のなかまはずーっと遠い昔から確かにいたのだということを感じてなんとなく嬉しいような気持ちになりました。

 

日々のデザイン業務では、どんなレイアウト、フォント、文字サイズ、色、装飾がベストなのか、根拠を持って選択することの繰り返しです。デザイン・美術の歴史の知識を持つことで、業務そのものに直接的にではないけれども、裏打ちの裏打ちのように、より根っこの部分で私たちデザイナーを支えてくれるような気がします。そばにお守りのように置いておきたくなる、やわらかくあたたかい一冊でした。